サトノアラジン産駒、南半球で大活躍の件

オーストラリア馬主

日本からシャトル種牡馬としてニュージーランドで種付けを行ったサトノアラジンの産駒が、南半球で大活躍しているとの報せが日々界隈を賑わせています。

今回はサトノアラジン産駒の南半球での活躍ぶりを振り返っていきたいと思います。

サトノアラジンのプロフィール

サトノアラジンのプロフィールは以下の通りです。

  • 父:ディープインパクト
  • 母:マジックストーム(母父:Storm Cat)
  • 生年月日:2011年2月16日
  • 生産:ノーザンファーム
  • 調教師:池江泰寿(栗東)
  • 馬主:サトミホースカンパニー
  • 近親の活躍馬:ラキシス(エリザベス女王杯、産経大阪杯※当時G2 など)
  • 主な勝ち鞍:安田記念、スワンS、京王杯スプリングC など
  • 総獲得賞金:4億5,090万円

血統

父ディープインパクト、母父storm catという配合は数々の活躍馬を輩出しているニックス配合で、日本の競馬ファンにとっては非常になじみ深い血統ではないでしょうか。

以下に主な活躍馬を挙げますが、わざわざ列挙するまでもないほど有名な馬ばかりです。

【父ディープインパクト、母父storm catの代表馬と主な勝ち鞍】

  • キズナ(日本ダービー、産経大阪杯※当時G2)
  • リアルスティール(ドバイターフ、毎日王冠)
  • ラヴズオンリーユー(優駿牝馬、ブリーダーズカップ・フィリー&メアターフ)
  • ダノンキングリー(安田記念、中山記念)
  • エイシンヒカリ(香港C、イスパーン賞)
  • アユサン(桜花賞)

傾向としては中距離の王道路線で活躍する馬が多いように見えますが、サトノアラジンに関してはデビュー当初こそ2,000m前後のレースを使い結果を出していましたが(菊花賞にも出走し6着)古馬になってからは距離を短縮し主に1,400~1,600mの短距離&マイル路線を主戦場としました。

同じ安田記念勝ち馬のダノンキングリーもマイル路線で活躍しましたが、1,400mというより短い距離でも活躍したのはサトノアラジンの特徴と言えるでしょう。

ディープインパクトの産駒の活躍馬はそのほとんどが中~長距離馬で、グランアレグリアやミッキーアイルなどの一部例外もいますが、かなりはっきりと傾向が分かれているように見えます。

そんな中で数少ない短距離で活躍できるディープインパクトの後継種牡馬として、サトノアラジンは希少な要素を秘めていると考えています。

産駒の傾向

現在JRAで現役のサトノアラジン産駒は65頭ほどで、2019年産の現4歳馬が最初の世代となります。

勝ち上がり率は平均をやや下回っており、クラシックや重賞戦線で活躍するような馬はまだ登場しておらず種牡馬としてのスタートダッシュは決して好調とは言えないのが現状です。

本記事の作成当時での獲得賞金上位馬は以下の通りです。

  • ウェルカムニュース(ダート、OP馬) 距離1,800~2,000m
  • グラスミヤラビ(芝、OP馬) 距離1,200~1,400m
  • レディバランタイン(芝、OP馬) 距離1,200~1,400m※1,800mでの勝ち鞍もあり
  • ディパッセ(ダート、OP馬) 距離1,700~1,800m

上位の4頭を切り取った内容ではありますが、ダートならやや距離は持つのかな? という印象ですが、適性はやはり短い方にあるのかなと思われます。

ただ先にも述べた通り重賞等で結果を出している産駒がいない現状です。

まだ2世代しか走っていないということも考えるとまだまだ未知数の部分が多いのも事実でが、ディープインパクトの後継種牡馬として期待がかかっていたことを考えると、正直なところこの成績は物足りなさを感じますし、今後にも不安が残るところではあります。

(2世代で結論を出すのは早計とも思いますが……事前の期待値からすると、という意見です)

生産者側もこの現状を受けてか、サトノアラジンは2023年から当初繋養されていた社台スタリオンステーションを離れ、日高のブリーダーズ・スタリオン・ステーションへと移動しております。

南半球での脅威の活躍

そんなサトノアラジンですが、種付け初年度の2018年のオフシーズンにニュージーランドへシャトル種牡馬として繋養されており、同地で種付けを行っています。

日本での活躍が振るわないサトノアラジン産駒ですが、なんとニュージーランドで誕生した産駒が驚異の活躍を見せています。

活躍の場はニュージーランドに留まらず、隣国のオーストラリアにまで及び、その勢いは増すばかり。

現在JBISサーチ(競走馬情報データベース)で確認できるニュージーランド、オーストラリアで活躍しているサトノアラジン産駒は6頭ですが、いずれもG1、G2、G3で勝利、入着しており、国内の成績とは比べ物にならない結果を残しています。

【南半球で活躍しているサトノアラジン産駒】

Tokyo Tycoon 

  • エラズリーサイアーズプロデュースS(NZ、芝1200、G1)一着
  • マタマタスリッパーS (NZ、芝1200、G3)一着
  • KARAKA MILLION 2YO(NZ、芝1200)一着

Pennyweka

  • オーストラリアンオークス(AUS、芝2400、G1)一着
  • ニュージーランドオークス(NZ、芝2400、G1)一着
  • ローランドS(NZ、芝2100、G2)三着
  • デザートゴールドS(NZ、芝1600、G3)三着
  • ウェリントンS(NZ、芝1600、G3)三着

Sacred Satono

  • ボーンクラッシャーS(NZ、芝1400、G3)一着
  • カウンティズボール(NZ、芝1100、G3)二着
  • UNCLE REMUS 3YO S(NZ、芝1400、リステッド)二着
  • COUNTIES CHALLENGE S(NZ、芝1100、リステッド)二着

Grand Impact

  • MRCブルーサファイアS(AUS、芝1200、G3)一着

Japanese Emperor

  • VRCオーストラリアンギニーズ(AUS、G1)三着

Lantern Way

  • タラナキ2歳クラシック(NZ、G3)二着

このようにとてつもない成績を残し、サトノアラジンは現在ニュージーランドの種牡馬リーディングでも上位10位以内に入る驚異の活躍を見せています。

本記事を執筆している前日には上記に挙げたPennywekaがオーストラリアンオークスを勝利したばかりであり、今最も話題の日本系種牡馬と言えるでしょう。

同じくディープインパクトの後継として南半球で活躍している種牡馬には、

リアルインパクト

ステファノス

などが現地で繋養され種付けを行っており、重賞やリステッドでの勝利、入着する産駒を輩出していますが、サトノアラジン産駒の勢いはそれらと比較しても目を見張るものがあります。

国内での成績や産駒の活躍がイコール海外での結果に結びつくとはならないのが競馬の常ですが、サトノアラジンも既存のイメージを覆す大活躍。

これからどこまで成績を伸ばしていけるのか、今後も産駒の活躍に注目したいところです。

筆者が注目しているサトノアラジン産駒【ニシノクレセント】

ニュージーランドで生産されたサトノアラジン産駒の活躍について触れましたが、日本から輸出されたサトノアラジン産駒にも注目です。

ご紹介したいのはサトノアラジン産駒の4歳馬【ニシノクレセント】

  • 父:サトノアラジン
  • 母:ニシノブルームーン(母父:タニノギムレット)
  • 生年月日:2019年4月11日
  • 生産:本桐牧場
  • 戦績(国内):9戦0勝(0-2-3-4)

中央未勝利に終わり、地方転入か……と思われたところを、オーストラリアの競走馬シンジケートであるRising Sun Syndicateによって買い取られ輸出された本馬。

惜しくも勝ち上がることができなかったものの、決して能力が足りていないということはなく、9戦中2着二回、3着三回という戦績を見ても、時間さえあれば結果を残すことはできたであろう実に惜しい一頭です。

日本の中央競馬には未勝利戦の期限があるため致し方ないことではありますが、そんなニシノクレセントに注目したのがオーストラリアの日本人ホースマンが運営するRising Sun Syndicate

元障害ジョッキーの川上絋介さんが代表を務めるこのシンジケート会社は日本でいうところの共有馬主のオーナーズクラブのようなもので、現地の生産馬だけでなく日本からの輸入馬を取り入れることに非常に力を入れています。

昨年には同じく日本からの輸入馬であるマイネルレガシー(中央未勝利)が4勝を挙げ、日本で惜しくも勝ち上がることができなかった馬をオーストラリアで活躍させるということに関して着実に実績を積み上げつつあります。

ニシノクレセントは現在大活躍のサトノアラジン産駒ということもあり、マイネルレガシー同様非常に高い期待を背負っての輸入となりました。

国外への輸送のため費用面がそれなりにかかってしまうため、共有募集の価格は決してお手頃とは言い難いお値段ではありましたが、それでも募集開始から時を置かずに満口となったことを考えると本馬がいかに期待されているかが伺えます。

筆者がオーストラリアの共有馬主に関心を持ったのもニシノクレセントの募集を見かけたことがきっかけですので、新天地での活躍が非常に楽しみです。

Rising Sun Syndicateについて】

オーストラリアで唯一の日本人が運営する競走馬シンジケート。

ビクトリア州のメルボルンに拠点を構え、現地のセリで購入した馬や日本からの輸入馬の共有馬主募集を行い、そのマネージメントを行っています。

筆者も一頭共有させていただいており、代表の川上絋介さんの非常に丁寧な対応に日々お世話になっております。

ご興味のある方は下記にホームページとTwitterアカウントを掲載しますので是非チェックしてみてください。

いずれも日本語で閲覧可能です(問い合わせなども全て日本語で対応してくださいます)

公式HP https://www.risingsunsyndicate.com/

公式日本語Twitter https://twitter.com/RisingSunSynd

川上絋介さん(代表)Twitter https://twitter.com/kosi0924

↑Rising Sun Syndicate代表の川上絋介さんの著書。

オーストラリア競馬の文化や共有馬主について非常にわかりやすく丁寧に書かれています。

筆者もこちらを読んで日々勉強させていただいている名著です。

終わりに

競走馬の能力というのは非常に面白いもので、環境、条件、気候や携わる人間によって予想だにしない結果を生み出します。

ブラッドスポーツと言われている以上血統は重要なファクターとして存在しますが、その血統も一つの環境で生まれた結果だけで全てを判断できるものでもありません。

国内では振るわない結果となっていても、ひとたび環境を変えればサトノアラジンのように驚くほど結果を残すこともあり得るというのが、競馬をより一層奥深くさせています。

サトノアラジンだけではなく、南半球では先にも挙げたリアルインパクトやステファノスの他、

モーリス、ブレイブスマッシュ、タガロア、トーセンスターダムなど、数々の日本馬がその血を残し、その中からは活躍馬が次々生まれています。

この記事を読んでくださっている皆様もぜひ、異国の地で活躍する日本馬とその血統に注目していただければ幸いです。

国内の成績や結果だけでは計り知れない、一層奥深い競馬を楽しむことができると思います。

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